9月14日、北欧ゆき
2020-09-14 23:35 (3 months ago)

9 月 14 日。ずっとその日になってほしいと思っていたし、ずっとその日が来ないでほしいとも思っていた。

27 歳にして初めての海外旅行。

1 ヶ月ほど前からパスポートの手配や旅行グッズ、その他必要なものの調達をしてようやくこの日になった。慣れないことばかりで、何回チェックしても何か重要なものを忘れているんじゃないかと、ずっと落ち着かなかった。前日は同行する友人の家に泊まったから、当然自宅を出たのも前日の夜だったが、自宅のドアを閉めるとき、次にここに戻ってくるときはぜんぶ終わってしまってるんだと考えると妙な気持ちになった。

何はともあれ 9 月 14 日、朝。僕は成田空港にいた。と言っても一年前だ。

僕はまだ会社に勤めていたし、忌まわしい感染症が世界を覆い尽くしていることもなかった。 そう考えると、一年しか経っていないのにはるか昔のことのようにさえ思えるけど、一方でもう一年も経ったなんて信じられない気もする。

行き先は北欧。デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの三ヶ国をまわる。

その旅行は、大学時代の友人と、僕を含めて 3 人で行った。
3 人とも属している会社は違ったが、3 人とも今の生活に満足していなかった。

海外旅行と書いたけれど、その頃本当は僕たちは海外で事業ができたらいいと思っていた。
それで行く先がなんで北欧なのかというと、まあかっこつけずに言うとかっこつけたかったからだ。
たとえばアメリカみたいな、海外でビジネスをやると言ったときにすぐに候補として出てきそうなところには行きたくなかった。
その点、北欧で事業をするというのはとびっきりクールなことに思えたし、同行する友人 2 人ともそういう話をしていた。

もちろん、旅行で行くのならともかく、事業をするとしたら定住することになるわけで、ビザはどうするのかとか、どういった事業を行うのかとか、そういったことはちゃんとは考えていなかった。
いや、少しずつ調べたりはしていたのだけれど、けっこうハードル高そうだねとか、頑張ったらできるんじゃないのとか言いながら、でもまずは現地に行ってみようよということになったのだった。

ナイーブに過ぎるといえばそのとおりだし、少なくとも計画性も実現性も皆無に近い話だったけれど、でもその頃の気持ちを相対化して「あの頃は若かったから」と笑えるほどにはまだ時間が経っていない。
結果的にはその話はなくなってしまって同行した友人たちもそれぞれの生活を送っているし、やっぱり海外それも北欧でいきなり生活し事業を行うのはかなり難しそうだと自分でも思っている(あとは追い討ちみたいに新型コロナウィルスが世界中で流行している)。

それでもあの頃イメージ先行で描いた夢を若かりし頃の世間知らずな自分が抱いた馬鹿げた夢として片付けられないのは、あの街々にまた行ける日が来ることを信じていたいからかもしれない。

とはいえ、あれからどれくらい経った、などといちいち数えるのも一年くらいかもしれないとも思うので、もっと昔のことになってしまう前に、印象的だったことを断片的に振り返っておきたい。

出発

出発の成田空港。上述のとおり、初めての海外旅行なのでかなりドキドキしていた。

日本を離れるのは一週間ほどだけど、恋しくなるかもしれないからということで一風堂のラーメンを食べたことを覚えている。

デンマーク

コペンハーゲン中央駅。この写真で見えるように、天井に鉄骨が張り巡らされていてかっこよかった。

僕はかなり微妙な表情をしているが、これは写真を撮るにあたって自分の決め表情としてあえてこの表情をしたのか、初めて異国の地に降り立って緊張していたからなのかは覚えていない。


Airbnb を利用して、コペンハーゲン郊外の Bagsværd(バウスベア)という地域の家に泊まったが、これはその家の庭。

この写真には写っていないが、トランポリンやサッカーのゴールなんかもあった。


これはその家の近くにあった寿司屋。

Love Sushi 愛」という感情は世界共通なのだということを知った。


その寿司屋には入らず、そこの近くにあった Café Sisko というお店でピザと肉料理を食べた。

海外のお店で食事をとるのも初めてだったから、この Sisko というお店にたどり着くまで、何軒かお店に入っては、店内をうろうろしつつ、なかなか店員に気づかれないものだからどうしていいかわからず(勝手に席に座ってしまうことも店員に声をかけることもできず)そのままお店を出たりしていた。

Sisko というお店の店員の方は優しく、愛想も非常に良くて、ようやく僕たちも落ち着いて食事をとることができたのだった。


翌日(コペンハーゲン 2 日目)。有名なコペンハーゲンの街(ニューハウン)。ニューハウンのクルーズツアーに参加してコペンハーゲンの街を船から見た。


同じくニューハウンのカフェ街。昼はこのへんのカフェでパンとウィンナーと卵のセットを食べた。


デンマーク郊外にあるクロンボー城。シェイクスピアのハムレットの舞台として知られる。


夜のコペンハーゲン中央駅周辺。かっこいい。


コペンハーゲン 3 日目。これはストロイエというコペンハーゲンの歩行者通りで、カフェからファッション店からいろんなお店が軒を構える。


この日はストロイエの Nytorv Restaurant and Cafe というお店でスモーブローを食べた。スモーブローはオープンサンドイッチの一種で、デンマークの伝統料理だそう。


ストロイエの広場で路上演奏をしている人がいた。Don McLean の Vincent という曲をカバーして歌っていたが、その演奏にあまりにも聴き入ってしまい、演奏後に思わず拙い英語で「感動した!」と話しかけたら CD をもらった。


ガイドブックでこのお店を見つけて、海外 3 日目にしてさっそく日本料理屋に行ってしまった。

店主の方からアルバイトの方まで店員はほとんど日本人(アルバイトの方はおそらくワーキングホリデー)で、ゲームでたとえるとセーブエリアに入ったようなひとときの安心感と、同時に今どこにいるんだかわからなくなるような感覚があった。

スウェーデン

北欧 4 日目。スウェーデン 1 日目。


ストックホルム市庁舎。ノーベル賞の受賞祝賀晩餐会が行われる場所でもある。外観も庭も中もとにかくきれいだった。


ストックホルム郊外にあるドロットニングホルム宮殿。世界遺産にも登録されているというのに、来ている人はかなり少なく、ほぼ貸し切り状態だった。

とにかく広く、16 時くらいに到着したものの 17 時に閉まるというので、ところどころ走りながら見て回ることになった。


夜のストックホルム(正確にはスルッセンという駅の近く)。都会的な先進性と古くからの趣が溶けあっているような街だった。


スウェーデン 2 日目。北欧 5 日目。この日は、ストックホルム中心地近くにある、「ガムラ・スタン」という街周辺を歩いた。

この通りはガムラ・スタンで最も狭いと言われているモーテン・トローツィグ・グレン通り。落書きだらけの壁がおしゃれ。

気に入りすぎて、about ページの僕のプロフィール写真 もここで撮った写真(LINE のアイコンも同じ写真にしてある)。


夕方に撮影したストックホルム市庁舎。


ガムラ・スタンの夜。ガムラ・スタンとは「古い街」という意味で、その名のとおり中世の趣を感じさせるような建物が立ち並んでいるし、宮殿や教会も多い。

魔女の宅急便のモデルになったとも言われている街である。

今回の旅でいちばん印象に残った街かもしれない。


夕食はガムラ・スタンのレストランでスウェーデンの伝統料理であるミートボールを食べた。こちらも美味しかった。

ノルウェー

北欧 6 日目。オスロに到着。


2004 年に世界バリスタチャンピオンに輝いた Tim Wendelboe 氏がオーナーを務める有名店「TIM WENDELBOE」でコーヒーを飲んだ。

浅煎りで、日本で飲むオーソドックスなコーヒーとは違う味だったけれども、それが実においしく、豆を買って帰った。

有名店ではあるのだけれども、変に気取った感じもなく、お客さんも純粋にコーヒーや会話を楽しみに来ているという感じだった。

カフェが人々の生活に溶け込んでいるような印象を強く受けた。


オスロの夜。オスロも本当にかっこいい街である。


オスロ中心街はかなり小さく、すぐに一周できるほどだったが、至るところにこのようなお洒落な通りがあって心を掴まれた。


翌日、オスロ 2 日前。北欧 7 日目。この日は博物館(フラム号博物館、マリタイム博物館、コンチキ号博物館)を見てまわった。

この写真は夕方にオスロ中心地で撮ったもの。

異国、海沿い、夕暮れ、テラス、と、エモーショナルじゃない要素を探すほうが難しい写真で、何回も見返してしまう写真。


この日はオスロ名物の魚料理(ざっくり)を食べた。オスロでは他にヘラジカのシチューやらサンドイッチやらを食べたが、どれも美味しく、友人とも「ノルウェー料理ってけっこう日本人の口にも合うね」と言い合ったのを覚えている。


この日の夜は HIMKOK というオスロのカクテルバーに行った。バーと言ってもカウンターでお酒を注文してホールで飲むようなスタイルで、1 階と 2 階にフロアが分かれていたり、DJ がいたり(でもクラブではなくみんなは音楽を聴きながらお酒を飲んでいる)賑やかな感じだった。

このバーには一人で行ったのだが、壁に H という文字が書かれていることだけがこの店の目印で看板やその他の明示的な案内はない。

また、入り口でも身分証明書をチェックされ(、お酒を提供するところなので当然なのかもしれないが、他のお店では特にチェックされたことがなかったので)ドキドキだった。

慣れない観光客がふらふら来たと思われたらならず者に金品を巻き上げられるのではないかと思って、キョロキョロしないように気をつけたり、写真を撮るときもあたかも写真を撮っているわけではなくそれ以外の目的(SNS やインターネットなど)でスマートフォンを操作してますよ感を出しながら隙を見て写真を撮ったり、ここぞとばかりにタバコを吸って不良感を出そうと努めた。

それらが功を奏して金品を巻き上げられることもなく無事に帰ることができた。

そういった経緯もあり、この店で飲んだ Oslo Mule というカクテルがたいへん美味しかったことは今でも覚えている。

帰国

他にもいろんなお城や教会、お店、美術館や博物館を訪れたのだが、それらをすべて記すと何倍もの分量になってしまうので割愛する。

実際には写真よりも動画を多く撮り、いつでも YouTuber として活動を開始できそうな勢いでもあるが、その公開もまたの機会とする。


もしかしたら二度と訪れることがないかもしれない街たち。日本から遠く離れた街の知らない人たちの生活。

現地の人たちと大した関わりは持たなかったし、特別仲良くなったような人もいないのだけれど、それでも、訪れた街に息づく人々の生活が垣間見えるたびにこれらの街が好きになった。

そして、これらの街を好きになればなるほど、自分が帰ったあとにもこの街で人々の生活はあり続けるということがなんだか悲しく、また、それが希望にも思えた。

今でも何気ないタイミングで、昔好きだった人のことを思い出すみたいに、あの街々のことを思い出して、意味もなく今あの街は何時だろうと時差を計算してみたりする。

またあの街に行けたらいいな。